セッションの要約 

■主な登場人物

・アンドリュー(主人公)

気弱で奥手な性格だが、執念深い。フレッチャーを尊敬しており、偉大なジャズマンになるためなら不幸であることは当たり前だと思っている。

・父親

アンドリューの父親。子煩悩な高校の教師でいて物書き。家は戸建の小さな成功者。

息子には一番にならなくても幸せになれると諭しているが、第三者から軽んじられている立ち位置にある。

母性的で妥協の象徴として存在しいる。

フレッチャ

独裁者的性格でフルメタルジャケットのリーアメイに似ている。偉大な何者かになろうとしたら、大きな壁を越えなくてはならなく、決して現状に満足してはならないし、壁を越えるための試練が必要だと思っている。

自分を間違ってると思わないし、後悔しないタイプ。

・アンドリューの彼女

そこそこの美人で、最高峰の音大に入籍している才能があるが、音楽自体さほど好きでない。自分が周りから嫌われているという思い込みがあり、自分がどうなりたいかなどの信念がない「モナトリアムの象徴」。アンドリューにとっては、「小さな幸せの象徴」。

 

物語の流れ

・教室でドラムの練習をしている。

フレッチャーがドラムに気づき教室に入ってくる。欠員のドラム候補を探すため。

・自分の演奏を披露するが、相手にされない。

・映画館で気になる彼女と父親に会う。父親に一番じゃなくてもいいと言われる。

マイナーリーグの教室で演奏しいるとフレッチャーが来てアンドリューを引き抜く。(plus)

・その高揚感で映画館で彼女にアタック。見事と付き合える。(plus)

・彼女と小さな幸せを手に入れる。(plus)

 

・特別教室ではフレッチャーが醸し出す雰囲気で緊張しいる。音程が合ってない一人の生徒をグループメンバーから外す。

・アンドリューが次の時間ドラムを叩くことになったが、手痛い仕打ちを食らう。

・ドラムを叩いて練習。

・小さな大会に出場、楽譜めくり担当だったが、ドラマーの楽譜をなくしてしまい、代わりにアンドリューがでる。

・特別教室ではメンバー当初のドラマーからアンドリューに変わり多幸感。(plus)

フレッチャーは次のコンクールでドラマーのもう一人の候補を紹介する。

・二人に演奏させて、アンドリューは外される。怒り狂う。(down)

・家族で食事シーンに移る。中途半端な家族を見て、自分は偉大になるためには不幸であることも致し方なしと語る。(プロになる意思を表明)

・偉大なドラマーになるため彼女と別れる。(down)

・手から血が出て絆創膏を何重にも巻くぐらいドラムを叩いて練習。

・次の大会の候補を決めることになり、古参のドラマーと新メンバーとアンドリューとの3人で血が飛び散るまでドラム打ち合いをする。

・アンドリューが選ばれる。(plus)

・大会当日バスがパンクして遅れる。レンタカーを借り会場に行くが、今度はレンタカー会社にドラムスティックを忘れる。(down)

・急いで取りに行く途中トラックと正面衝突。血だらけになりながらも会場に着くが演奏にならなく、フレッチャーにバンドの演奏を止められてしまう。(down)

・途中で止められたことに腹が立ったアンドリューがフレッチャーに殴りかかり退学。(down)

 

・月日は夏になり、ふらっと立ち寄ったジャズバーでフレッチャーに会う。

フレッチャーはその後、行き過ぎた指導により学校をクビになっていた。自分の指導は偉大な人間を作り出すためやってきたとであって間違ってないと主張。

偉大になるにあたり、いけないのは現状に満足することだ。good jobが一番いけない。という。

フレッチャーのジャズバンドで一緒に演奏することになる。ドラマーの夢は捨てきれないでいた。(plus)

・別れた彼女に今度演奏するから聞きに来てくれとの連絡をするが、新しい彼氏ができ、行けるかどうかわからないと言う。アンドリューは失った「小さな幸せ」すら取り戻せることはできないと悟る。(down)

・演奏当日、フレッチャーや周りのジャズマンを無視して演奏し始める。

・思うように行かず退出する(down)

・会場の入り口に父親が待っていて帰ろうというが、父親の軽んじられる側になりたくないため、アンドリューが踵を返しバンドの方に戻る。偉大になるため。

・アンドリューの独壇場になり、最高のセッションをして終わる。(plus)(plus)

 

■性格が良く分かる描写

・父親と一緒にポップコーンを食べてる時、アンドリューが嫌いなレーズンにもかかわらず、ポップコーンにまぶしてレーズンを避けて食べてる時。

困難は付き物で避けて食べる。性格。

・父親がその後、他人からぶつけられたのにも関わらず、「すみません」といった時。

小さな成功者だが他者から軽んじられていることを示唆。

・彼女が有名音楽学校に通っているのに、映画館の係員や安っぽいピザ屋でも何も言わず、不満を隠す。

才能があるにも関わらず、自信がなく第三者の目が気になる性格。

 

■印象に残ったとこ

・ドラムのスティックが血だらけになるまで叩くシーン

フレッチャーの脅しかかる高圧さと、関係者以外は外面良く見せて、夢のある感じで接するところ

・トランペットの出だし

・ドラムの音が印象に残らなかったこと。トランペットの方がインパクトは上。パフォーマンスはドラム。

・血だらけになりながらもコンサートにいったとこ。

 

■感想

ドラムをひたすら叩いてテクニックの縦軸を伸ばしていく話だが、実際はジャズだけではなくあらゆるクリエーティブはオリジナルを製作して初めて偉大に近づけるのであって、単にテクニックだけでは偉大にはなれないのが真実のはず。

その辺が、偉大になる定義に違和感を感じた。

緊張感があり、ジャズという少々退屈な話に感じていたけど、メリハリがあり最後まで観れた。

少年漫画的な王道があった。